結論から言うと、車の雪下ろしは「①屋根から順に」「②柔らかいスノーブラシで」「③体を痛めない姿勢で」行うのが正解です。そして、屋根の雪を残したまま走るのは、とても危険です。
雪国に住んでいると、冬の朝は車の雪下ろしから一日が始まります。何気ない作業ですが、やり方を間違えると、車を傷つけたり、腰を痛めたり、走り出してから事故につながったりします。福島で13年、毎冬この作業をしてきた私が、実際に使っている道具と、安全で体にやさしいやり方をお伝えします。

なぜ、屋根の雪下ろしが必要なのか
「どうせ走れば落ちるから」と、屋根の雪を残したまま走り出すのは厳禁です。理由は、走行中の落雪が、重大な事故につながるからです。
- 加速したとき:屋根の雪が後ろに飛んで、後続車のフロントガラスを直撃することがあります。
- ブレーキで減速したとき:屋根の雪が前にドサッと滑り落ち、自分のフロントガラスを一瞬で覆って、前が見えなくなります。
- 重さによる負担:積もった雪は見た目より重く、ボディのへこみや、放置による錆の原因にもなります。
さらに、屋根の雪を落としながら走ると、整備不良や安全運転義務違反に問われる可能性もあります。自分と周りの安全のために、出発前にしっかり下ろしておきましょう。
道具は「伸縮できるスノーブラシ」がおすすめ
私が使っているのは、柄が伸び縮みする「伸縮スノーブラシ」です。これを選んでいる理由は、無理な体勢になりにくく、腰や体を痛めずに作業できるからです。
特に、ヤリスクロスのようなSUVは、アクアに比べて屋根が高いです。普通のブラシだと、背伸びをしたり、遠くまで手を伸ばしたりしないと、屋根の中央に届きません。雪で足元が不安定ななか、無理な姿勢をとるのは危険です。その点、伸縮スノーブラシなら、屋根の真ん中まで無理なく届くので、安全でとても使いやすいです。
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正しい雪下ろしの手順
雪下ろしは、落とした雪で下を汚さないよう、上から順に行うのが基本です。
① 屋根(ルーフ)から
まず屋根の雪を落とします。ここでコツがあります。大量に積もっているときは、一度に全部落とそうとしないことです。表面から2〜3回に分けて、少しずつ雪の量を減らしてから下ろすと、一度に重い雪を動かさずに済みます。無理な姿勢で力を入れるのを防げるので、体を痛める危険が減ります。
② 窓・フロントガラス
次に窓です。大きめの雪をブラシで取り除いてから、凍っているガラスに解氷スプレーをかけて氷を溶かします。このとき大事なのが、ワイパーをむやみに動かさないことです。ワイパーのゴムが凍ってガラスに貼り付いていることがあり、無理に動かすとゴムが引きちぎれてしまうからです。
③ サイドミラー
意外と見落としがちなのが、サイドミラーです。凍っていたり曇っていたりすると、後方の確認ができず、とても危険です。ミラーの雪や氷もしっかり取り除いておきましょう。
④ ライト類
ヘッドライト・テールランプ・ウインカーの雪も落とします。点灯しても雪で隠れていては、周りに自分の存在や合図が伝わりません。
⑤ マフラー周り
最後に、マフラー(排気口)の周りの雪も取り除きます。マフラーが雪で埋まったままエンジンをかけると、排ガスが車内に入り、一酸化炭素(CO)中毒の危険があります。
雪とマフラーのCO中毒の危険はこちらで詳しく

車の周りの雪かきも忘れずに——私のバンパー凹み失敗談
車の雪を下ろしたら、駐車スペースの周りの雪かきも必要です。ここで、私の失敗談を一つ、恥をしのんでお話しします。
大雪が降った日、私は駐車場の雪をきれいにかいて、車の後ろに雪を積み上げて“雪山”を作っていました。その日の夜、帰宅してバックで駐車しようと、いつもの目印の位置までバックしたところ——昼にかいたはずの雪山が溶けておらず、むしろ凍って硬くなっていて、ドンとぶつかってしまったのです。結果、バンパーがへこんでしまいました。
ここから学んだ教訓は、かいた雪の“置き場所”に気をつけることです。雪を駐車スペースや車の通り道に積むと、それが夜のうちに凍って固い塊になり、思わぬぶつかりの原因になります。
かいた雪は、どこに処分する?
- 流雪溝(側溝)がある地域:雪を溶かして流せる側溝があれば、そこに入れて処分します。
- ない場合:車の出入りや駐車の邪魔にならない場所に、まとめてためておきます。車の後ろや通り道に積まないのがポイントです。
なお、雪かきは腰を痛めやすい作業です。次の「体を痛めないコツ」は、雪下ろしだけでなく、この雪かきにもそのまま当てはまります。
【体を痛めないコツ】雪下ろし・雪かきで腰を守る
雪下ろしや雪かきは、毎年腰や肩を痛める人がとても多い作業です。重い雪を、冷えた体で、無理な姿勢で動かすのですから、当然ともいえます。体を痛めないために、私が意識しているポイントをまとめます。
- 伸縮スノーブラシで、無理に手を伸ばさない:遠くへ背伸びして力を入れる姿勢が、一番腰に危険です。道具で“届く範囲”を広げましょう。
- 一度に重い雪を動かさない:屋根も雪かきも、2〜3回に分けて、少量ずつ。『一気に』が、痛める一番の原因です。
- 腰ではなく、ひざを使う:かがむときは腰を丸めるのではなく、ひざを曲げて、体全体で。
- 体をひねりながら放り投げない:ひねる動きは腰を痛めやすいので、体ごと向きを変えます。
- スコップは“ひとすくい分”を決めてから持ち上げる:一度に大量をすくわず、すくう量に形を作ってから持ち上げると、腰への負担がぐっと減ります。
- 雪を放る方向に、体ごと向けて立つ:腰をひねらずに済むよう、斜め前方など“掃ける方向”に最初から位置どりしておきます。
- 冷えた体でいきなり始めない・こまめに休む:少し体を動かしてから、無理のないペースで。
「急いでいるから一気に」が、一番ケガを招きます。時間に余裕を持って、少しずつ——これが、車にも体にもやさしい雪下ろしのコツです。
走り出す前に——視界の確保は“命に関わる”
雪を下ろし終えても、窓とサイドミラーの視界が完全に確保できるまでは、走り出さないでください。以前の記事でもお伝えしましたが、フロントガラスが完全に溶けないうちに走るのは、本当に危険です。
サイドミラーも同じで、後方が見えないと、車線変更や右左折のときに大事故につながります。雪道では基本的に徐行していますが、だからこそ、車線変更の瞬間に危険が潜みます。急がず、すべての視界を確保してから発進しましょう。
屋根・窓・サイドミラー・ライトの雪と氷をしっかり取り除き、前も後ろも見える状態にしてから発進してください。『少し見えるから大丈夫』は禁物です。
まとめ
車の雪下ろしは、毎朝の何気ない作業ですが、やり方ひとつで、車の寿命も、自分の体も、道路の安全も変わります。
- 屋根から順に、柔らかいスノーブラシで。伸縮タイプが体にやさしい。
- 大量の雪は2〜3回に分けて。一気に動かさず、腰を守る。
- ワイパーは凍着に注意、マフラー周りはCO対策で除雪。
- 窓もミラーも、視界を確保してから発進。
雪国の冬は、焦らず、少しずつ。今年の冬も、安全に乗り切りましょう。
凍ったガラスの正しい溶かし方はこちら





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